2016年御翼6月号その4

武士道とキリスト教

  

 武士道は、日本国最善の産物である。しかしながら、武士道そのものに日本国を救う能力(力)はない。武史士道の台木にキリスト教を接(つ)いだもの、そのものは世界最善の産物であって、これに日本国だけでなく、全世界を救う能力(ちから)がある。今やキリスト教は、欧州において亡びつつある。そして物質主義に囚(とら)われた米国に、これを復活する能力(ちから)がない。ここにおいて神は、日本国にその最善を献じて、彼の聖業を助けるように求めておられる。
 日本国の歴史に、深い世界的な意義があった。神は二千年もの長い間、世界の目下の状態に応じさせるために、日本国において武士道を完成されつつあったのである。世界はつまり、キリスト教によって救われるのである。しかも武士道の上に接木(つぎき)されたキリスト教によって救われるのである。     内村鑑三 現代語訳

 2009年、プラハ宣言で核を放棄すると言ったことが評価され、オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞した。口で言っただけでノーベル平和賞、それは、アメリカ大統領の宣言ということで世界に与える影響力を考慮して選ばれたのであろう。

 先週、オバマ氏が米国歴代現職大統領として初めて、広島を訪問したが、米国では、「原爆投下は正しかった」とするのが主流である。原爆により太平洋戦争は終結し、更なる犠牲者が両国から出ることを防げたという論理である。しかし、アメリカン大学歴史学のピーター・カズニック教授(核問題研究所長)は、原爆投下の正当性を否定している。そして、謝罪よりも重要なことは、誤りを認めることだという。
 「私は謝罪があれば歓迎するが、謝罪は何も変えないと思っている。しかし、『原爆投下はどうあっても間違いだ』と言うことは謝罪より重要で、未来を変えると考える。米国では『原爆が戦争を終わらせた。たくさんの命を救った』と多くの人が信じている。米国がすることは常に良いことで、正当化されるという『例外主義』と関係する。だが、私は原爆投下の必要性に少しでも納得できる論理を見たことがない。原爆投下の判断に触れないことでオバマ氏は国内の批判をかわせるかもしれない。しかし、同時に、真にノーベル平和賞に値する歴史的な機会を逃すことになるだろう」と。朝日新聞(二〇一六年五月二十二日)より

 内村鑑三は、欧州のキリスト教は滅びつつあり、物質主義のアメリカでは世界は救えないと言った。原爆投下を過ちだと認められず、未だに戦争を続けている米国大統領にノーベル平和賞がおくられる世の中に対し、内村は預言者的な発言をしていたのだ。
 しかし、人類の真の敵は、米国でもなければ、自衛隊の海外での武力行使を認めようとする政権でもない。それは、神と人、人と人とを引き離す働きをする霊的な存在、サタンである。サタンとの戦いは、既に勝利しているイエス様に委ね、私たちはひたすら善を行っていればよい。

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